今年は、インフルエンザが全国的に大流行しています。ここ山形市でも、インフルエンザ警報が出るほどです。さらにはAソ連型はタミフル耐性がほとんどであるし、しかもワクチンがあまり効いていない可能性もあるというのが、特に去年までとの違いのようです。
さて、インフルエンザ後に聞こえが悪くなることがあるのですが、今日はその話。例年インフルエンザが流行すると、年に1〜2例ほどは私の診療所でも診ていましたが、今年は特に多い印象がありますので、記事にしてみます。
インフルエンザで聞こえが悪くなるのは、以下のようなメカニズムです。

まずインフルエンザウイルスは、鼻から入り上咽頭(じょういんとう)で粘膜に入り込みます。上咽頭には耳管咽頭口といって中耳へとつながる通気口の出入り口があります。

ですから、耳管を通ってウイルスが中耳へと侵入して、ウイルス性中耳炎を起こす可能性もありますし、また、ウイルスによって細菌にたいする抵抗力も低下しますから、普通の細菌性中耳炎をも起こしやすくなります。実際には、おそらくウイルスと細菌が混合感染を起こしているのではないでしょうか(上図左)。中耳内にウイルスや細菌の作った膿汁が貯まると、鼓膜から内耳への音の伝わり方が悪くなって伝音性難聴を起こします。さらに炎症が内耳へと波及すると、内耳の働きも悪くなって感音難聴を生じます。
伝音難聴と感音難聴が合併した状態が混合性難聴というのですが、インフルエンザ後の難聴では特にこの混合性難聴が多いように思います。
伝音性難聴では、中耳に溜まった膿や粘液がなくなれば難聴は改善することが多いですが、混合難聴では内耳機能も障害されていますから、難聴がやや高度になりやすいですし治るまでの時間は長くなることもあります。
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