普段使っているデジタルカメラ。Panasonic製LUMIX G1といって小型軽量で画質も結構良いです。これを診療に生かせないかと試してみたのが、顕微鏡アダプターという製品。

耳鼻科の診療というのは耳を初めとして細かい所を診られなくては始まりませんから、顕微鏡が必需品です。主には鼓膜の観察や、耳かす取り、鼓膜切開、チュービングなどに使いますが、耳以外にも鼻血の止血、咽に刺さった魚の骨を取るのにも重宝します。照明もついていますし拡大して見ることができるので、額帯鏡で肉眼で見るよりも有利なのです。ただし現在はカメラなどをつないでいないので患者さんに鼓膜の状態などを説明する時や画像として記録する時には、顕微鏡ではなくて電子スコープ(内視鏡)を使っているので、二度手間となっています。なんとか耳の観察から処置、説明、記録というのを一連の流れで出来ないかと考えて、顕微鏡にデジタルカメラをつなぐ製品を探しました。昔から顕微鏡の写真というのは研究者は撮っていましたが、フィルムではコストがかかるし直ぐに見られないので患者さんに説明という点では役に立ちません。デジタルカメラならばその欠点は補えるし、最近は動画も撮れるようになったので処置や手術も記録できるはずです。
そしてネットで見つけた業者さんに依頼して、デモ機を貸していただきました!
つないでみたらこんな感じで、一見良さそうです。


ちょっとかさばるのですが、まあ何とか許せるレベルです。

画像はこんな感じです。光源が暗めだったので高感度にしたためノイズが乗っているのと、”ケラレ”が出てしまっていますが、まあ使えなくはなさそうでした。(ちなみに被写体は耳の”模型”)
ただし今回デモ機を使用させてもらって一つ大きな欠点がわかり、購入は躊躇しています。それはアダプターとカメラの重さで顕微鏡の位置が安定しないこと。これだと処置がしづらくなってしまいます。もっと軽いカメラで試すか、顕微鏡を支えるアームを調整するか現在思案中なのです。
今回はちょっとマニアックな内容になってしまいました。あまり一般の方には役立たない話で恐縮なのですが、耳鼻科診療所でこんなおバカなことをやっている医者もあんまりいないかなと思い、人柱的なリポートとして記事にしてみました。
週明けからは、また耳や鼻の話しでもしていきたいと思います。